Transient girl
2.青の世界
「日本じゃない……?」
だとしたら……なによ。
どう考えたっておかしい今の自分のいる世界。
あたりをぐるっと見回してみる。
本当に見たことのない景色。
白い砂浜と、青い空と、それから海。
そして私。
それだけしか存在しないこの世界。
よく見ると目がおかしくなるくらい広い海。
空の青さと海の青さが混ざって変な感じがする。
何処までが海で、何処からが空?
わからなくなる。
「……♪」
携帯が鳴った。
慌てて携帯を開く。
非通知。
「も、もしもし……」
『あぁー……もしもし?』
「もし……もし?」
何こいつ?
知らない声……
『えっとー……今何処?』
「え……あなた……誰?」
『今どこかって聞いてるんだけど?』
「……わからないんですけど」
『今目の前に広がってる景色は?』
「……海」
『それから?』
「空」
『あとは?』
「砂浜」
『もういっちょ』
「……もうない」
『そんなことあるはずない』
「『あるはずない』って……どういうこと?」
『君が今見ているものより、君が今見えていないものの方が多いってこと。君はまだ気づいてないだけ。』
「ちょっと……意味わかんないんですけど。あなた誰なの?」
『後ろ見てみれば……見えてないものが見えるようになるかもね』
「…?」
何がなんだかわからない。
一応。
言われた通り、振り返ってみる。
目の前にいたのは…
「じゃんっ!こんにちわ♪」
「ひゃっ!!」
真っ青。
目の前にたっていたのは男。
青い髪の毛で、青い目。
青い洋服と、青い爪。
全部青くて…吸い込まれそう。
「君が新しく来た人?」
「へっ?!」
びっくりしすぎて声がひっくり返った。
「まぁ、予想通りって感じの人かなぁー……もっと面白い人がくればいいのに……マッチョとか」
「ななな、なに?!」
「あ、でもマッチョだと俺緊張しちゃうかも……いっつもプロテインとかもってそうで……逆らったら……」
マ、マッチョ?!
プロテイン?!
「うん……やっぱマッチョはだめだな。ま、普通の人で良かったわ!あはは!」
「……」
「まあまぁ、仲良くやってこーね!俺はアラキ。君は?」
「へっ?!」
「ねぇ。その『へっ?!』ってどもるのやめてよ」
「えっ……あぁ……ごめんなさいっ」
「で、君の名前は?」
「わ、私!?……えっと、私は……」
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