トランペットを吹く少年の物語






暑い。

肌が焼けているのが現在進行形ですごくよくわかる。

この腕で目玉焼きができるんじゃないかと思うほどだった。







真っ黒なスパイクは煙を出しそうな勢い。

触ったら確実にヤケドだ。

今日は帽子を忘れてきた。



死ぬ〜…













今は試合中。

あのトランペットを吹く少年を見てから、

24時間ほど経っていた。



この練習試合、ドロドロの点取り試合となった。

相手のピッチャーも汗でボールが滑る。

こちらも同じ条件だが。



緊張すると手から汗が出る私は、ボールの投げにくさに、

そろそろ本気でいやになっていた。





ーーーへんなとこ遺伝するんだから…



私の父親もそうだった。

















試合が終わったのは昼の二時半。

結果は12対9で勝利。



まぁ…私の高校のレベルなんてこんなものだ。









おなかぺこぺこな私は、片付けがおわると、

すぐにあいさつを済ませ、駅へ向かった。





みんなは「マック行こう」とか「ミスドがいい」とか「サイゼ」がいいとか…

地域によって違う略語を使いながら歩いている。

私はマックだとかサイゼだとかミスドだとか…

そういうのはあまり好きではなかったけど…つき合いだし。



ついていくことにした。













結局「マック」。









「ねー理緒!今日すごかったじゃん!」

「へ?」







モスではシェイクじゃなくてシェイキなんだよなー…

とかどうでもいい事を考えながらシェイクを飲んでいた私は

友達に話しかけられて我に戻った。





「あの3回裏の三者三球三振!お見事っ!」

「あぁ…あれは下位打線だったからでしょ…」







シェイクを一気に飲み過ぎて頭がキンとなる。

顔をしかめながら私は言った。







「えー?それでもすごいって!内角高めのぎりぎりをズバーンと!かっこよかったー」

「ありがと。」

「なによー!口数少ないわね〜…調子悪いの?」

「いやー?そういうわけじゃないけど…」

「そう?……もしかして悩みとかあるんじゃないの?」

「ないって。」

「あ、わかった。恋の悩みだ。」

「違うって。」

「なんだー!ついに理緒も?いやー!あんた愛と勇気とボールだけが友達だと思ってたのに!あはは!」

「…。」

「…なによ。どうしたのよー!」









「ねー…」

「え?!なに?!誰?!」



「吹部にさぁ…めちゃトランペット上手い人いない?」

「吹部?…吹奏楽部でしょ?…う〜ん…吹部かぁ…誰だ?!」

「好きな人じゃないっつの。」

「え?じゃぁ誰の事?」

「そりゃ私が聞きたいよー…」









私の頭は、なぜかあのトランペットを吹く少年の事を想い出していた。

なぜだろう。

あれから頭から離れない。









「じゃさ、私吹部には割と顔きくし、聞いとくわ。」

「うん。よろしくー。」

「そっかそっか。理緒もついに…げへへ。」

「だから違うっつってんでしょ。」











この物語には全く関係ない事だが、夏希は…かなりモテる。

中学の時からそうだった。

だからこういう色恋ものには決まって食いつく。













さて。

話は変わるが、本当に…あの少年は誰だったんでしょうか?

本当に…不思議なくらい頭の中をぐるぐるまわる。











こんな気持ち初めて…

っていうとなんか誤解されそうだけど…。







本当に初めてだった。

あの少年に、不思議な力を感じた。



























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第二話。
少年は出てきませんでしたが、
理緒の頭の中はトランペットでいっぱい。



ゥシヲ。




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