空模様






第2話





現在7時。

メールの送り主が公園のそばにいるとも限らないため、1時間は待つ。

しかし大抵遅れて行くというメールが入る。

そういうときは、自動販売機で煙草を買って、ベンチでくつろぐ。

俺のこの容姿からして、未成年に見られる事はまずない。





家の目の前の公園なため、5分足らずで到着。

さすがにまだ来ていない。

公園のはじっこにある自動販売機に足を向ける。





五百円を入れて、煙草を購入。

包装してあるフィルムをはがしてクシャッと丸めてポケットに突っ込む。



ライターを出して、火をつける。



「フーー……」



上を見ると、雲で月が隠れかけていた。

都会のど真ん中だ。

星など見えるわけがなかった。

しかし、それでいい。







ベンチでゆっくり吸おうと、赤いベンチの方を向いた。

するとそこには、赤に少し黒みがかったコートを着た女が座っていた。

女というより、少女だ。



まさかとは思った。







携帯を開く。

メールが一件。



『ありがとうございます。公園はすぐそこなので、8時前には着きます。赤いコートです。』



返信ボタンを押す。

『今から行きます。』







携帯をしまい、歩き出す。

煙草を投げ捨て、ポケットに手を突っ込む。



あと10メートルというところで、少女は携帯を開いた。

俺のメールが届いた。

黒い皮の手袋をしていた。





「どうも。」





少女との距離、5メートル。

少女が顔を上げる。





「あ!こんにちわ!!」

「こんばんわ。」



思いっきり夜だ。



「あ…はい。こんばんわ…っ」



慌てて修正する少女。

おっかなびっくりな返事。

拍子抜けだ。

見たところ俺と同じ位の年齢。

それでも、優等生なオーラを発していて、とても家出をするような奴になんか思えなかった。

髪はストレートで背中につくくらいの長さがあった。

お嬢様だ。





「君がお客さん?」

「…はい。泊めてもらいたくて。」

「そう。じゃぁ…寒いし、部屋に行こうか?」

「…はい。よろしくお願いします。」





礼儀正しい客に少しひるんだ。

初めてだ。『よろしくお願いします』なんて言う客。

別世界の人間の匂いがした。

















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第2話。
裏の世界と表の世界。

ナチュ。





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