第10話






久しぶりのこの駅。
あれから喜夜とは連絡を取っていないが、
無事帰ってきた事だし…連絡をいれておくか…


家に電話をかける。
時刻は9時20分前。
9時には家に着きそうだ…



「…………あれ?」




でない。
留守なら留守番電話にするはずだが…
留守電にもしていないようだ。


「まぁ…いいか。」











あまり深く考えずに歩いた。
通い慣れた道をなにも考えず。














家に着く。
妙に懐かしく感じた。




「ただいま…」






「おかえりなさい。」







トタトタと出てきたのは僕の愛する人。
喜夜。

なんだ。帰ってたのか。





「うん。ただいま。」
「おかえり。」
「……」
「おふろにする?」
「いや。大丈夫。そんなに暑くなかったしね。」
「そう。じゃぁ朝ご飯は?軽く作っといたけど…」
「うん…食べるよ。」


本当は新幹線で食べてきたけど…

まぁ…いいや。

















「おつかれさま。のコーヒー。」
「ありがと。」


まだパジャマのままの喜夜が、コーヒーを差し出す。
懐かしい光景に、僕はまたにっこりする。





「聞いてよ夏乃。私1日目二人分のコーヒー用意しちゃったの。」
「あははっ…そんなに存在感あるの?僕。」
「そんなんじゃないよー。間違えたんじゃない。」
「えぇ?意地っ張りだな。」
「違うの。いつもと同じように暮らしたかったの。」
「…同じように?」


「そう。」



妙に重く感じたその言葉。







「夏乃がいなくたって…」
「……喜夜?」





喜夜の顔が曇っていく。
どうしたんだ?






「…私…夏乃がいなくたって普通に過ごせたよ。」
「喜夜…?」
「私…夏乃が思ってるほど弱くない。」
「喜夜。どうしたの?」
「だから私…一人で生きていけるから。」








え…?




「私…覚悟はできてるの。」





そういうと僕の妻は、
戸棚から一枚の紙を取り出した。










「はい。」



渡される。

これ…






「ど、どういうことだよ…喜夜…………」












渡されたのは…






































離婚届。





































 

 

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