第7話




「…もしもし?」
「はい…喜夜?」
「…うん。もう大丈夫?」
「もう終わったよ。」

「もしかして…会議中だった?さっきの電話。」
「…そうっすねー。会議中だった。」


「…………」


「………喜夜?」



私が…夏乃の仕事を邪魔しちゃった…?


「……地獄…?」
「え…?なに?」

「その会議、失敗したら地獄なんでしょ?」
「…まだ…わからないよ。」
「…でも…絶対だめだよね?会議中に…電話だなんて。」
「電源きってなかった僕が悪いんだよ。ごめん。」

「なんで謝るの?…悪いのは私だよ!」
「……………」

「私が…くだらない事で電話しちゃったから…!」
「…くだらない事?どんな話しだったっけ?」
「ちょっと!話しそらさないで!」
「…ごめん。」
「だから謝らないでよ!」


「…………………」





「……なんで怒ってるんだろ。」

「…………」

「…ごめんね。」

「いや…僕の方こそ…ごめ…あっ」
「また謝ろうとするー…。」
「はは…。」
「…夏乃らしいなぁ…。」
「…おいおい。君は僕に謝らなきゃいけないんじゃなかったっけ?なに和んでんの。」


夏乃らしくないことを言う。

「…ごめんなさい…。」

「…………」

「…夏乃?…ごめんね?」


「う〜む…よし!許す!」

「………ありがと。」








「会社…大丈夫なの?」
「大丈夫さ。クビにはならないし。」
「社長ではなくなる?」
「…多分ね。」
「…そっか。…ごめんね…」
「大丈夫だよ。生活のことならなんとかなるし…」
「ホントに…?」
「…ホントだよ。」
「ウソじゃないよね?ホントだよね?」
「ウソじゃないよ。」

「そっか…いつ帰ってくるの?」
「月曜日の…夜かな。もうちょっと早く帰れるかもしれない。」
「…わかった。ご飯作って待ってるね。」
「うん。よろしく。」

「じゃぁね。」
「ん。…ばいばい。」





電話を切る。

…これで、よかったのだろうか?


いつも。
いつもそうだった。

いつだって私は夏乃の優しさに甘えて。
いつもそのあと後悔する。
甘えちゃった…って。




ホントに、これでよかったのかな…?







 

 

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